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わたくし小説

自分の直接体験したことを題材に、心境を掘り下げて書く物語を私小説と呼ぶ。たかだか身辺雑記と濫読備忘録ではあるが、我が人生の後半戦は「わたくし小説」の主人公の気分でありたいと願うこの頃。

しゃばけ

今日の1冊

畠中恵「しゃばけ」★★1/2

主人公は江戸の廻船問屋長崎屋の若だんな。両親に甘やかされて育った身体の弱いやさ男だが、訳あって身の回りに大小強弱取り混ぜた妖(あやかし)を従えて暮らしている。ある日夜道で見知らぬ職人風に襲われ、小物の妖の助けを借りて命からがら逃げ帰ったことが発端となり、人と妖を巻き込む不思議な事件に巻き込まれてゆく。

第13回日本ファンタジーノベル大賞受賞作だそうだ。うーん、「大江戸ファンタジー/ミステリー人情噺風味」として、どうよ。

わたくしの感想は正直言って「ビミョー」かな。親しみやすく書けてはいるが、時代ファンタジー/ミステリーとして京極「巷説百物語」や宮部「霊験お初」と比べれば明らかに情感も迫力も足りず平板。時代背景は異なるが小野「東亰異聞」の描く、モダニズムと伝統の相克に悶える魔都江戸-東亰の闇の深さを思うと、その片鱗も本作には無い。

比べる相手が悪いかねえ。途中まで、こいつは結構凄い話になるかも、と期待しただけにね、ちょっと残念。

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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌